政治・経済のニュースについて新聞を「信頼できる」と答えた人は、2020年の62.6%から2025年は51.9%へ、6年で10.7ポイント下がった(総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」)。ところが、新聞を情報源として使っている人だけに絞ると82.7%で、下げ幅は4.4ポイントにとどまる。落ちたのは新聞そのものの評価というより、新聞を使わない人が全体に占める重みだった。
調査概要
総務省情報通信政策研究所は毎年、代表的なメディアについて「信頼できる情報がどの程度あると思うか」を尋ねている。政治・経済問題(国内)というテーマで新聞を「信頼できる」(全部信頼できる+大部分信頼できる)とした人の割合は、2020年の62.6%から2025年の51.9%まで、6年間で一度も上向くことなく10.7ポイント下がった。
同じ期間、テレビは81.4%から73.4%へ8.0ポイント、ラジオは42.6%から36.3%へ6.3ポイント低下している。下げ幅が最も大きかったのが新聞だった。次のグラフで、その落ち方の速さを見る。
2年刻みで抜き出すと、下落が一時的なぶれではないことがはっきりする。2021年61.8%、2023年55.3%、2025年51.9%——4年間で9.9ポイント、1年あたり約2.5ポイントずつ削られてきた。ただし直近の2024年から2025年に限れば52.3%→51.9%と0.4ポイント差でほぼ横ばいであり、下げ止まりの気配も見える。
では、この10.7ポイントは何が減った結果なのか。「新聞は信用できない」と考える人が増えたのか、それとも別の要因なのか。ここに、この調査ならではの答えがある。
この調査の信頼度には2つの集計がある。ひとつはグラフ①②の全年代ベースで、「そもそもその情報源を使わない・知らない」と答えた人も分母に含む。もうひとつが利用者ベースで、その情報源を使っている人だけを分母にした数字である。同じ設問・同じ回答者から、母数の取り方だけを変えて算出されている。新聞を読む人が減れば、たとえ読者の評価が変わらなくても、全年代ベースの数字は自動的に下がっていく。
2本の線を並べると、印象が反転する。新聞を情報源として使っている人だけで見た信頼度は、2020年87.1%から2025年82.7%——6年で4.4ポイントの低下にとどまり、いまも8割を超えて調査対象8メディアの中で最も高い。全年代ベースの10.7ポイント下落のうち、読者の評価の変化で説明できるのは半分以下ということになる。
その一方で、2つの線の間隔は24.5ポイントから30.8ポイントへと広がった。信頼が薄まったのではなく、新聞を情報源として使う人と使わない人の分断が深まったと読むほうが実態に近い。読んでいる人にとって新聞は依然として最も確かな情報源であり、読んでいない人にとっては評価の対象にすら入っていない。
全年代ベースの数字は「メディアの評判」と「そのメディアの届く範囲」の両方を含んだ複合指標である。世の中への影響力を測るなら全年代ベース、コンテンツそのものの評価を測るなら利用者ベースが適している。同じ現象は他メディアでも起きており、インターネットニュースサイトは全年代ベースで51.6%から47.6%への微減だが、利用者ベースでは66.3%から57.1%へ9.2ポイント下がっている。使う人が増えたぶん、その中での評価は下がった——新聞とちょうど逆の構図だ。数字を引用するときは、どちらの母数の値なのかを必ず添えたい。
| 年度 | 新聞 (全年代) | 新聞 (利用者) | テレビ (全年代) | ネットニュース (全年代) | ネットニュース (利用者) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2020(R2) | 62.6% | 87.1% | 81.4% | 51.6% | 66.3% |
| 2021(R3) | 61.8% | 88.5% | 80.7% | 50.5% | 63.1% |
| 2022(R4) | 58.0% | 87.0% | 79.6% | 52.7% | 66.2% |
| 2023(R5) | 55.3% | 85.5% | 75.6% | 49.4% | 60.0% |
| 2024(R6) | 52.3% | 83.5% | 73.1% | 46.6% | 56.8% |
| 2025(R7) | 51.9% | 82.7% | 73.4% | 47.6% | 57.1% |
出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和8年6月公表)表7-2-2-1・表7-2-2-2。テーマは「政治・経済問題(国内)」。数値は「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」と回答した割合の合計。全年代は13〜79歳(N=1,800)。利用者ベースは「そもそもその情報源を使わない、知らない」の回答者を除いた集計。調査は各年12月に実施。
全年代ベースの信頼度は5割の境目に達した。次回・令和8年度調査(2027年6月ごろの公表見込み)で見るべき観測点は3つある。全年代ベースが5割を割るのか、2024年から続く横ばいが定着するのか。利用者ベースの8割が保たれるのか。そして、全年代ベースでじりじり迫るインターネットニュースサイト(47.6%)との4.3ポイント差が逆転するのか。数字が下がったからといって、新聞を読んでいる人の評価まで下がったとは限らない。この調査は、その2つを分けて見られる数少ない定点である。
※出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和8年6月公表)。信頼度は「非常に信頼できる」「ある程度信頼できる」の合計で、テーマは「政治・経済問題(国内)」。全年代ベースは13〜79歳の全回答者(N=1,800)を分母とし、「そもそもその情報源を使わない、知らない」と回答した人を含む。利用者ベースはその回答者を除いた集計であり、両者は同一調査・同一設問の別集計である。調査は令和7年12月1日〜7日に実施。なお本調査は令和6年度調査から70代を含む1,800人に拡大され、経年表示にあたり令和2〜5年度の数値も70代を含めて再集計されているため、令和5年度以前に公表された報告書の数値とは一致しない場合がある。差(ポイント)は公表値をもとに編集部が算出した。
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