マイナンバーカードの人口普及率は2026年5月末時点で83.1%・保有枚数1億344万枚(総務省)。一方、健康保険証としての利用は52.8%にとどまり、「配布」から「活用」へ課題が移っている。
調査概要
マイナンバーカードの人口普及率は、2022年末の57.1%から2026年5月末には83.1%へと約26ポイント上昇した。保有枚数は2025年に1億枚の大台を超え、いまや国民の5人に4人以上が保有する。「持っていないのが普通」だったカードは、4年で「持っているのが当たり前」に変わった。
ただし伸び方は一様ではない。この4年で数字が最も大きく動いたのは2023年——次のグラフでその1年をズームインする。
2023年、普及率は57.1%から73.0%へ1年で15.9ポイント跳ねた。枚数にして約1,963万枚——この4年間の増加分の6割がこの1年に集中している。マイナポイント第2弾の申請期限と、健康保険証との一体化方針の決定が重なり、「いつか作ろう」だった層が一斉に動いた年である。
テレワーク(2020年)や生成AI(2025年)と同じく、数字を大きく動かしたのは自発的な需要ではなく「期限付きの外圧」だった。ポイント還元という実益と、保険証廃止という期限。この2つが揃った1年だけ数字が跳ね、外圧が去った2024年以降は年3〜4ポイントの緩やかな伸びに戻っている。
別統計からの補足:以下は出典の異なるデータ(総務省 令和7年通信利用動向調査)との比較。保有率と利用率は調査方法・母数が異なるため、直接の因果ではなく傾向の対比として提示する。
保有率83.1%に対し、最も身近な利用シーンである健康保険証としての利用は52.8%にとどまる。カードは財布に入ったが、財布から出す機会はまだ限られている——「配布のフェーズ」が終わり、「活用のフェーズ」の入口に立っているのが現在地である。
2つの数字は調査方法が異なるため厳密な引き算はできないが、「ほぼ全員が持ち、半分が使う」という構図は明確である。普及率はもはや政策の成果指標として役割を終えつつあり、今後問われるのは利用シーンの数——保険証・運転免許証との一体化、オンライン行政手続き、民間の本人確認——がどれだけ日常に組み込まれるかである。
| 時点 | 保有枚数 | 人口普及率 |
|---|---|---|
| 2022年末 | 7,191万枚 | 57.1% |
| 2023年末 | 9,154万枚 | 73.0% |
| 2024年末 | 9,631万枚 | 77.1% |
| 2025年末 | 1億65万枚 | 80.8% |
| 2026年5月末 | 1億344万枚 | 83.1% |
※2022年末のみ「交付枚数率」で定義が異なる。健康保険証としての利用率は52.8%(令和7年通信利用動向調査)。
直近の伸びは年3ポイント前後まで鈍化しており、普及率は80%台後半で飽和に向かうとみられる。今後の注目は保有率ではなく利用率だ。2026年からの運転免許証との一体化、スマホ搭載の広がりが「使う理由」をどこまで増やせるか。マイナカードの定点観測は、次の局面から「利用シーン数の観測」に変わっていく。
※出典:総務省「マイナンバーカード交付状況」(令和8年5月末時点・2026年6月公表)および「令和7年通信利用動向調査」。2022年末の数値のみ「交付枚数率」(交付累計÷人口)で、2023年以降の「保有枚数率」(失効・返納分を除く)とは定義が異なる。健康保険証利用率(52.8%)は調査方法・母数が異なる別統計であり、保有率との直接比較は傾向の把握を目的とする。
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