電子契約、9年で43%→80%。推移が示す「ハンコは消え、パスワード付きzip添付(PPAP)は残った」企業のデジタル化

電子契約、9年で43%→80%のグラフ 定点観測

電子契約を利用する企業は2026年に80.2%と初めて8割を超えた。2018年の43.1%から9年で約37ポイント上昇し、うち24ポイントはコロナ禍の2021年の1年間に集中している(JIPDEC)。

調査概要

グラフ①:電子契約利用率の推移(2018〜2026年)
毎年更新:この記事は「定点観測」シリーズです。統計の最新値が公表されるたびに、同じURLで更新します(最終更新:2026年7月)
電子契約を利用している企業の割合
2018年〜2026年(9年間・各年1月調査)|JIPDEC 企業IT利活用動向調査(2026年:n=1,107)
→ 2026年、初めて8割を超えた
100%80%60%40%20%0% 43.1% 44.2% 43.3% 67.2% 69.7% 73.9% 77.9% 78.3% 80.2% 201820192020202120222023202420252026 電子契約を利用している企業の割合(JIPDEC 各年調査より)

電子契約を利用する企業の割合は、2018年から2020年まで43〜44%で完全に横ばいだった。それが2026年には80.2%と初めて8割を超えた。9年間で約37ポイントの上昇——しかしそのうち24ポイントは、たった1年で動いている。

その1年が2021年だ。次のグラフで、9年間の変化のほとんどを生んだ急変点をズームインする。

グラフ②:急変点ズームイン(2020〜2021年)
2021年——利用率が1年で23.9ポイント跳ねた年に何が起きたか
2020年〜2021年(各年1月調査)|グラフ①と同スケール(縦軸0〜100%)
→ 「ハンコのための出社」が、9年分の変化を1年で起こした
100%80%60%40%20%0% 43.3% 67.2% 1年で +23.9ポイント コロナ禍・「ハンコのための出社」問題 政府の脱ハンコ方針が背中を押した 2020年2021年 9年間横ばいの最終年▲ 一気に3社に2社へ

2020年まで9年近く40%台前半で止まっていた利用率が、2021年に一気に67.2%へ跳ねた。テレワークが広がるなか「契約書に押印するためだけに出社する」ことが社会的な問題になり、政府の脱ハンコ方針がそれを後押しした。9年間の変化の3分の2が、この1年に凝縮されている。

なぜ2021年に集中したのか

電子契約のツール自体は2018年当時から存在し、利便性も変わらなかった。動かなかった理由は「今のやり方で困っていない」から。それを壊したのがコロナ禍という外圧である。テレワーク(2020年)・マイナカード(2023年)・生成AI(2025年)と同じく、企業の慣習は利便性ではなく「やらざるを得ない状況」によって変わる——定点観測シリーズで繰り返し確認されるパターンだ。

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グラフ③:同じ会社の中の凸凹——契約は80.2%、メール添付は41.8%が旧習のまま
電子契約の利用率と、パスワード付きzip添付(PPAP)をいまだ利用する企業の割合
2026年1月調査|n=1,107|JIPDEC 企業IT利活用動向調査2026(同一調査内の対比)
→ 外圧がかかった契約は変わり、かからなかったメール添付は残った
100%75%50%25%0% 80.2% 41.8% 同じ会社の中にある デジタル化の凸凹 電子契約を利用している 契約業務のデジタル化 パスワード付きzip添付(PPAP)を利用 メール添付は旧習のまま

同じ2026年の調査の中に、対照的な2つの数字がある。契約業務は80.2%がデジタル化された一方、外部へのファイル送付では41.8%の企業がいまだにパスワード付きzipをメールに添付する方式(通称PPAP)を使い続けている。PPAPはセキュリティ効果が乏しいとして政府機関が廃止し、多くの大手企業も受信拒否を進めている方式だ。

契約が変わったのは「ハンコ出社」という外圧があったから。メール添付に同じ強さの外圧はまだかかっておらず、そこには古い慣習がそのまま残っている——企業のデジタル化は一枚岩ではなく、場所によってこれだけの凸凹がある。

このグラフの正しい読み方

2つの数字は「進んだ領域」と「残った領域」の対比である。電子契約が9年横ばいから一気に8割へ達した事実は、PPAPも「変わるきっかけさえあれば一気に変わり得る」ことを示唆する。取引先からの受信拒否や業界ガイドラインが外圧として機能し始めたとき、この41.8%が急落する——それが次の定点観測の見どころになる。

データ一覧:電子契約を利用している企業の割合の推移(2018〜2026年)
出典:JIPDEC 企業IT利活用動向調査
調査年(各年1月)電子契約利用率
2018年43.1%
2019年44.2%
2020年43.3%
2021年67.2%
2022年69.7%
2023年73.9%
2024年77.9%
2025年78.3%
2026年80.2%

※2018〜2020年は設問形式が旧版。パスワード付きzip添付(PPAP)をいまだ利用する企業は41.8%(2026年)。

先を読む
2026年——電子契約80.2%。数字は飽和カーブに入った。

直近3年の伸びは年1〜3ポイントまで鈍化しており、電子契約は80%台で飽和に向かうとみられる。残る2割は、取引先が紙を求める・業界慣習・小規模事業者との取引といった構造要因が中心で、ツールの問題ではない。今後の観測点はむしろPPAP側だ。「契約」で起きた急変が「メール添付」でも起きるのか——41.8%という数字の動きが、日本企業のデジタル化の次の局面を教えてくれる。

このデータをプレゼンで使うには
ターゲット:DX推進部門・情報システム・バックオフィス改革・電子契約/セキュリティベンダー
SCENE 01|DX推進の社内説得
「慣習は外圧でしか変わらない」の実例として
「電子契約は9年間横ばいでしたが、コロナの1年で+24ポイント動きました。『今困っていない』業務こそ、きっかけを設計しないと永遠に変わりません。」
SCENE 02|セキュリティ改善の提案
PPAP廃止の緊急性を数字で示す
「契約のデジタル化は8割まで進んだのに、いまだ4割の企業がパスワード付きzip添付(PPAP)を使っています。政府も廃止した方式が残っているのは、単に”変えるきっかけ”がないだけです。」
SCENE 03|市場分析・経営報告
「飽和市場の次」を語る起点にする
「電子契約の普及は80%で飽和期に入りました。市場の主戦場は”導入させる”から”活用を深める・周辺業務へ広げる”に移っています。」
生成AIでグラフを生成する
ChatGPT、Gemini、Copilot、Claudeなどに下のプロンプトをそのまま貼り付けるだけで、同じグラフが自動で生成されます。
以下のデータをもとに折れ線グラフを作成してください。 【データ】 年, 電子契約を利用している企業の割合 2018年, 43.1% 2019年, 44.2% 2020年, 43.3% 2021年, 67.2%
… (グラフ仕様・出典・注記を含む全文)

※出典:JIPDEC「企業IT利活用動向調査」各年版(2026年版は2026年4月15日公表・n=1,107・調査時期2026年1月)。2018〜2020年の値は当時の設問形式(N対N型+1対N型の合算)によるもので、2021年以降は簡略化された設問による同一指標。厳密な経年比較ではなく傾向の把握を目的とする。PPAP利用率(41.8%)は同調査2026のセキュリティ編より。

よくある質問
電子契約を利用している企業はどのくらいありますか?
JIPDEC「企業IT利活用動向調査2026」(2026年4月公表・n=1,107)によると、電子契約を利用している企業は80.2%で、初めて8割を超えました。2018〜2020年は43〜44%で横ばいでしたが、2021年に67.2%へ急増し、以降は緩やかに上昇しています。
電子契約はなぜ2021年に急増したのですか?
2021年は利用率が43.3%から67.2%へ1年で23.9ポイント上昇しました。コロナ禍のテレワーク下で「契約書に押印するためだけに出社する」ことが社会問題化し、政府の脱ハンコ方針が後押ししたことが背景です。ツールの利便性は以前から変わっておらず、外圧が慣習を変えた典型例といえます。
PPAP(パスワード付きzip添付)はまだ使われているのですか?
同じJIPDEC調査2026によると、外部とのファイル送付でパスワード付きzipをメール添付する方式(通称PPAP)をいまだ利用している企業は41.8%あります。セキュリティ効果が乏しいとして政府機関は廃止し、受信拒否する大手企業も増えていますが、契約業務ほどの強い外圧がかかっていないため、古い慣習として残っています。
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