経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%(国内指標)と、2010年の16.6%から15年で上昇を続けている。決済手段別ではクレジットカードが82.7%と大半を占める一方、コード決済(PayPay等)が2022年に電子マネーを逆転し、2025年は16.6兆円と電子マネー(6.0兆円)の約2.8倍に達した。
調査概要
日本のキャッシュレス決済比率は、2010年の16.6%から一貫して上昇し、2025年に58.0%に達した。政府が掲げていた「2025年までに4割程度」という目標は、この国内指標では2021年に40.0%へ到達し達成済みだ。経済産業省は2025年12月、次の目標を「国内指標でキャッシュレス決済比率80%」(中間目標は2030年に65%)と定めている。
15年を通じて途切れず伸び続けてきたが、その伸びは近年むしろ加速している。何がこの加速を牽引しているのか——次のグラフで直近を拡大する。
2018年に29.8%だったキャッシュレス比率は、2025年に58.0%——7年で28.2ポイント上昇し、ほぼ倍増した。この加速の主役は、2018年に統計へ初めて登場したコード決済(PayPay等のQRコード決済)である。登場時の決済額はわずか0.16兆円だったが、2025年には16.6兆円と約106倍に膨らんだ。
クレジットカードや電子マネーの読み取りには専用端末が要るが、コード決済は店舗側がQRコードを掲示するだけで導入でき、初期投資が小さい。利用者もスマホひとつで完結する。加えて2019〜2021年にかけての大型還元キャンペーンが利用の裾野を一気に広げた。データが示すのは、この期間にコード決済がゼロから「決済手段のひとつ」として定着したという事実である。次のグラフで、その定着が決済手段の勢力図をどう変えたかを見る。
コード決済の急拡大は、決済手段の勢力図を塗り替えた。2021年まではSuicaや楽天Edyなどの電子マネー(約6兆円)がコード決済(約5兆円)を上回っていたが、2022年に逆転。2025年にはコード決済16.6兆円に対し電子マネーは6.0兆円で、その差は2.8倍まで開いた。電子マネーは2023年の6.4兆円をピークに、むしろ縮小に転じている。
ただし勘違いしてはならないのは、キャッシュレスの主役はいまもクレジットカードだということだ。2025年のクレカ決済額は134.6兆円と、キャッシュレス全体の82.7%を占める。コード決済はあくまで「第2の柱」の座を電子マネーから奪った、という位置づけである。
この15年でキャッシュレスの中では3つの異なる動きが同時に起きている。クレジットカードは絶対額を大きく伸ばしつつも構成比はゆるやかに低下(94.0%→82.7%)、コード決済はゼロから急伸して第2の柱に、電子マネーは頭打ちから縮小へ——である。「キャッシュレス比率58%」という1つの数字の裏で、支払いの手段そのものが入れ替わりつつあることが、決済・小売・マーケティングの戦略を考える上で重要になる。
| 暦年 | CL比率(国内指標) | クレカ | コード決済 | 電子マネー |
|---|---|---|---|---|
| 2010年 | 16.6% | 36.0兆円 | - | 1.6兆円 |
| 2018年 | 29.8% | 66.7兆円 | 0.2兆円 | 5.5兆円 |
| 2020年 | 37.3% | 74.5兆円 | 3.2兆円 | 6.0兆円 |
| 2021年 | 40.0% | 81.0兆円 | 5.3兆円 | 6.0兆円 |
| 2022年 | 44.0% | 93.8兆円 | 7.9兆円 | 6.1兆円 |
| 2023年 | 48.4% | 105.7兆円 | 10.9兆円 | 6.4兆円 |
| 2024年 | 52.8% | 116.9兆円 | 13.5兆円 | 6.2兆円 |
| 2025年 | 58.0% | 134.6兆円 | 16.6兆円 | 6.0兆円 |
※比率は国内指標(分母から持ち家の帰属家賃を除外)。国際比較指標では2025年46.3%。コード決済は2018年統計開始・クレジットカード紐付け利用分を除く。デビットカードは2025年5.5兆円。
比率は直近も年5ポイント前後のペースで上昇しており、次回・2026年分(2027年3月頃公表)の観測点は「6割の大台」に乗るかどうか。より長い視野では中間目標の65%(2030年)、最終目標の国内指標80%との距離が焦点になる。手段別では、コード決済が電子マネーとの差をさらに広げるのか、そして頭打ちの電子マネーがどこで下げ止まるのかを定点で追う。なお国際比較指標では2025年のキャッシュレス比率は46.3%である。
※出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月公表、2026年6月18日更新)。本記事の比率は経済産業省が2025年12月以降の新たな指標として採用した「国内指標」(分母の家計最終消費支出から持ち家の帰属家賃を除外)で、2024年以前の数値も遡って再計算されている。国際比較指標では2025年の比率は46.3%。決済額の出典はクレジットカード=日本クレジット協会、デビットカード・電子マネー=日本銀行、コード決済=キャッシュレス推進協議会、分母=内閣府「国民経済計算」。コード決済額はクレジットカード紐付け利用分を除いた金額。政府目標・新目標はキャッシュレス推進検討会とりまとめ(2025年12月公表)による。
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