特殊詐欺、4年で282億→1,423億円。推移が示す「だまし取る単価」の急騰

特殊詐欺、4年で282億→1,423億円のグラフ 定点観測

特殊詐欺の被害額は2025年(令和7年)に1,423.1億円と前年からほぼ倍増(+98.0%)し過去最悪を更新した(警察庁・確定値)。SNS型投資・ロマンス詐欺の1,834.3億円を合わせた被害総額は3,257.4億円、1日あたり約8.9億円に相当する。

調査概要

グラフ①:特殊詐欺の認知件数と被害額の推移(2016〜2025年)
毎年更新:この記事は「定点観測」シリーズです。統計の最新値が公表されるたびに、同じURLで更新します(最終更新:2026年7月)
特殊詐欺の認知件数(左軸)と被害額(右軸)の10年推移
2016年〜2025年(10年間)|警察庁 特殊詐欺の認知・検挙状況(確定値)
→ 件数は2倍、被害額は3.5倍。急騰は直近2年に集中
30,00020,00010,0000 1,500億1,000億500億0 407.7億 282.0億 1,423.1億円 27,832件 20162018202120232025 認知件数(左軸・件) 被害額(右軸・億円)

特殊詐欺の被害額は、2016年の407.7億円から2021年の282.0億円まで、対策の浸透とともに着実に減り続けていた。ところが2022年に増加へ転じると4年連続で拡大し、2025年には1,423.1億円と過去最悪を更新。底だった2021年からわずか4年で5.0倍に膨らんだ。

注目すべきは件数と金額のズレだ。認知件数は10年で約2倍(14,154件→27,832件)なのに、被害額は3.5倍。「詐欺の数」より「1件でだまし取られる金額」が増えている。次のグラフで、急騰した直近2年に何が起きたかを見る。

グラフ②:急変点ズームイン(2023〜2025年)
2025年——被害額が1年でほぼ倍増(+704.3億円)した
2023年〜2025年|グラフ①の被害額(右軸)と同スケール(縦軸0〜1,500億円)
→ 1年で+704億円。押し上げたのは「ニセ警察詐欺」998.7億円
1,500億1,000億500億0 452.6億 718.8億 1,423.1億円 たった1年で +98.0%(ほぼ倍増) 「ニセ警察詐欺」単独で998.7億円 警察官を名乗り送金させる手口(2025年1月統計開始) 2023年2024年2025年 増加へ転じて2年目▲ 過去最悪を更新

2025年の急騰を1つの手口が押し上げた。警察官を名乗り「あなたの口座が犯罪に使われている」「捜査に協力してほしい」と脅して資産を送金させる「ニセ警察詐欺」である。この手口だけで被害額は998.7億円——特殊詐欺全体の7割に相当する。

被害の質も変わった。だまし取られた金額は既遂1件あたり350.3万円(2024年)から523.6万円(2025年)へ上昇。さらに認知件数では20代・30代が前年の2倍以上に増え、「特殊詐欺=高齢者が狙われるもの」という常識が崩れつつある。

なぜ「だまし取る単価」が跳ね上がったのか

従来のオレオレ詐欺は「息子を装って数百万円」が典型だった。ニセ警察詐欺は「捜査対象になっている」という公権力の恐怖で被害者を数日間拘束し、預貯金や投資資産まで全額を送金させる。1回の接触で奪う金額が桁違いに大きい。交付形態も現金の手渡しから振込型(約6割)や暗号資産送信型へ移り、対面の網にかからなくなったことが被害の大型化を後押ししている。

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グラフ③:SNS型投資・ロマンス詐欺との比較——詐欺被害の合計は3,257億円へ
特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額の推移
2023年〜2025年|警察庁(同一資料)|SNS型投資・ロマンス詐欺は2023年から統計開始
→ 2023年に並び、2年で411億円差。被害額の主役はすでにSNS型
2,000億1,500億1,000億500億0 2023年はほぼ同額(453億 / 455億) 1,271.9億 718.8億 1,834.3億円 1,423.1億円 2つの詐欺の合計 3,257.4億円 = 1日あたり約8.9億円 2023年2024年2025年 特殊詐欺(オレオレ詐欺・ニセ警察詐欺等) SNS型投資・ロマンス詐欺

実は、過去最悪を更新した特殊詐欺よりも大きな被害を出している詐欺がある。SNSで投資話や恋愛感情を装って現金をだまし取るSNS型投資・ロマンス詐欺は、統計開始からわずか3年目の2025年に1,834.3億円——特殊詐欺を411億円上回った。統計開始の2023年には両者はほぼ同額(452.6億円と455.2億円)だったが、2年でSNS型が引き離した。

2つを合計すると年間3,257.4億円、1日あたり約8.9億円がだまし取られている計算になる。電話からSNSへ主戦場が移ったのではない。電話の詐欺もSNSの詐欺も、同時に過去最悪を更新しているのがこの3年の現実だ。

このグラフの正しい読み方

2系列は警察庁の同一資料に基づくが、手口の性質は大きく異なる。特殊詐欺は電話で接触し(約8割)現金や振込でだまし取る。SNS型はInstagramやYouTube広告などから接触し、被害の中心は50代、増加率は30代が最多。つまり「電話に出る高齢者」と「SNSを使う現役世代」の両方が別々の手口で狙われており、どの世代にとっても他人事ではない構図になっている。

データ一覧:特殊詐欺の認知件数と被害額の推移(2016〜2025年)
出典:警察庁 特殊詐欺の認知・検挙状況
認知件数被害額
2016年14,154件407.7億円
2017年18,212件394.7億円
2018年17,844件382.9億円
2019年16,851件315.8億円
2020年13,550件285.2億円
2021年14,498件282.0億円
2022年17,570件370.8億円
2023年19,038件452.6億円
2024年21,043件718.8億円
2025年27,832件1,423.1億円

※SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は2023年455.2億円→2024年1,271.9億円→2025年1,834.3億円(2023年統計開始)。「ニセ警察詐欺」(2025年1月統計開始)は単独で998.7億円。

先を読む
2025年——特殊詐欺1,423.1億円・SNS型1,834.3億円。合計は1日あたり約8.9億円。

ニセ警察詐欺は2025年1月に統計を開始したばかりで、令和8年に初めて通年の前年比較が可能になる。国際電話の利用休止申請、金融機関の口座凍結強化、著名人なりすまし広告への規制——対策側の打ち手も出そろいつつあり、2026年は「対策が単価の上昇に追いつくか」を見極める年になる。観測点は2つ。ニセ警察詐欺の998.7億円が減少に転じるか、そしてSNS型が2,000億円の大台に乗るかどうかだ。

このデータをプレゼンで使うには
ターゲット:セキュリティ教育・金融機関・自治体・コンプライアンス研修
SCENE 01|経営層向け・セキュリティ稟議
「対策済み」の前提を崩すデータとして
「特殊詐欺の被害額は対策の浸透で282億円まで減りました。しかしその後4年で5倍の1,423億円です。手口が変われば、積み上げた対策は一夜で無効になります。」
SCENE 02|社員研修・コンプライアンス
「高齢者の問題」という思い込みを解くために
「ニセ警察詐欺の認知件数は30代が最多、次いで20代です。だまし取られる金額は1件あたり523万円。この教室にいる全員が、統計上のボリュームゾーンです。」
SCENE 03|金融機関・自治体向け提案
被害の「規模感」を一言で伝える
「電話とSNS、2つの詐欺で年間3,257億円——1日あたり約8.9億円が失われています。水際対策の投資対効果を語るうえで、これ以上ない根拠になります。」
生成AIでグラフを生成する
ChatGPT、Gemini、Copilot、Claudeなどに下のプロンプトをそのまま貼り付けるだけで、同じ2軸グラフが自動で生成されます。
以下のデータをもとに2軸グラフ(棒=認知件数・折れ線=被害額)を作成してください。 【データ】 年, 認知件数(件), 被害額(億円) 2016年, 14154, 407.7 2017年, 18212, 394.7 2018年, 17844, 382.9 2019年, 16851, 315.8
… (10年分の全データ・グラフ仕様・出典・注記を含む全文)

※出典:警察庁「特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(令和7年・確定値)」。特殊詐欺はオレオレ詐欺・預貯金詐欺・架空料金請求詐欺・還付金詐欺等の総称。SNS型投資・ロマンス詐欺は2023年(令和5年)から統計開始のため3年分の掲載。「ニセ警察詐欺」は2025年(令和7年)1月から統計開始(2024年中の同種手口はオレオレ詐欺〈その他名目〉として4,261件・375.9億円)。年代別の件数は法人被害を除く個人被害の集計。金額は警察庁公表の確定値。

よくある質問
特殊詐欺の被害額はいくらですか?
警察庁の確定値によると、2025年(令和7年)の特殊詐欺の被害額は1,423.1億円で、前年の718.8億円からほぼ倍増(+98.0%)し過去最悪を更新しました。認知件数は27,832件です。
特殊詐欺の被害額はなぜ2025年に急増したのですか?
警察官を名乗り「口座が犯罪に使われている」などと脅して送金させる「ニセ警察詐欺」の被害が単独で998.7億円にのぼったためです。既遂1件あたりの被害額も350.3万円(2024年)から523.6万円(2025年)へ上昇し、1件でだまし取られる金額そのものが大きくなっています。
SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額はいくらですか?
2025年(令和7年)の被害額は1,834.3億円で、特殊詐欺の1,423.1億円を上回っています。統計開始の2023年は455.2億円だったため、3年で約4倍に拡大しました。特殊詐欺と合わせた被害総額は3,257.4億円、1日あたり約8.9億円に相当します。
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