国税庁によると、令和7年分の所得税等の確定申告ではe-Tax利用率が77.1%(1,814万人)と、令和3年分の58.3%から5年で18.8ポイント上昇した。自宅からのe-Tax申告は949万人(うちスマホ497万人)に達し、確定申告会場で申告した人は218万人と全体の1割を下回っている。
調査概要
令和7年分(2026年3月期限)の所得税等の確定申告では、申告人員2,353万人のうち1,814万人——77.1%がe-Taxで申告した。国税庁の資料が「4人に3人がe-Taxを利用」と表現するとおり、令和3年分の58.3%から5年で18.8ポイント上昇し、毎年欠かさず伸び続けている。
行政のデジタル化は「進まない」と語られることが多いが、確定申告はその例外だ。この77.1%の中身を見ると、伸びを牽引しているのが「どこで・何を使って申告しているか」の変化であることが分かる。次のグラフで掘り下げる。
e-Taxの伸びを支えているのは「自宅からの申告」だ。国税庁HPの確定申告書等作成コーナーや会計ソフトを使い、本人が自宅からe-Taxで申告した人は949万人(前年比+15.1%)——申告人員全体の40.3%と、令和3年分の19.4%から約2倍になった。
その中身がさらに興味深い。自宅からスマホを利用してe-Taxで申告した人は497万人(前年比+21.8%)と、自宅からのe-Tax申告の半数以上を占める。パソコンすら不要になった申告が、いま最も速く伸びている入口だ。
行政DXの定番の皮肉は「マイナンバーカードは83%が持っているのに、使う場面がない」だった。しかし確定申告は例外で、マイナンバーカード方式でe-Tax送信した人は令和3年分の239万人から令和7年分は790万人へ、5年で3.3倍に増えている。「年に一度、確実に発生し、面倒で、締切がある」手続きだからこそ、カードとスマホの組み合わせが最も強く機能した——といえる数字である。
自宅からの申告が2倍になった一方で、確定申告会場で申告した人は218万人(前年比▲12.9%)と、申告人員全体の1割を下回った。令和3年分には311万人いた会場申告者は5年間一度も増えることなく減り続けている。2月の税務署名物だった「行列」は、統計のうえでも着実に消えつつある。
令和3年分の時点では、自宅からのe-Tax申告(442万人)と会場申告(311万人)の差は1.4倍だった。それが令和7年分には949万人対218万人——4.4倍まで開いた。同じ手続きの「入口」が、わずか5年でここまで入れ替わった行政手続きは珍しい。
2系列は国税庁の同一資料に基づく。なお「自宅からのe-Tax」は申告者本人による送信で、このほかに税理士による代理送信などがe-Tax利用全体(1,814万人)に含まれる。つまり77.1%のすべてが本人のオンライン操作ではない点には注意が必要だ。それでも「本人が・自宅から・スマホで」という最も高いハードルの部分が全体の4割まで来たことが、この統計の本質的な変化である。
| 申告年分 | e-Tax利用率 | 自宅からe-Tax | 確定申告会場で申告 |
|---|---|---|---|
| 令和3年分 | 58.3% | 442万人(19.4%) | 311万人 |
| 令和4年分 | 65.1% | 592万人(25.8%) | 289万人 |
| 令和5年分 | 69.0% | 690万人(29.7%) | 270万人 |
| 令和6年分 | 74.0% | 824万人(35.2%) | 251万人 |
| 令和7年分 | 77.1% | 949万人(40.3%) | 218万人 |
※e-Tax利用率は税理士による代理送信等を含む。令和7年分のスマホ申告は497万人(自宅からのe-Tax申告の半数超)。マイナンバーカード方式の送信は令和3年分239万人→令和7年分790万人。
e-Tax利用率は5年間、年3〜7ポイントのペースで途切れず上昇しており、次回・令和8年分(2027年6月頃公表)の観測点は「8割の大台」に乗るかどうか。もう1つの観測点は会場申告の200万人割れだ。スマホ申告は直近も前年比+21.8%と最も高い伸びを続けており、次回もこの2つの数字を定点で追う。
※出典:国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」(報道発表資料)。e-Tax利用率は所得税等の確定申告書の申告人員(令和7年分は2,353万人)に占めるe-Tax申告の割合で、税理士による代理送信等を含む。「自宅からのe-Tax」は納税者本人が国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフト等を利用して自宅から送信したもの。「申告年分」はその年の所得に対する申告を指し、実際の申告手続きは翌年2〜3月に行われる(令和7年分=2026年2〜3月に申告)。マイナンバーカード方式の送信者数(239万→790万人)はe-Tax利用状況の推移(同資料トピックス1)による。
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